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継手と仕口

土台敷きが終わった『大屋根の家』。
建築用語では材と材が取り合う部分の加工の事を“継手”または“仕口”といいます。
材を長さ方向に延長させるとき(材が平行)は“継手”と呼び、材が直交しているときは
“仕口”と呼んで区別されています。

これは材が同じ方向なので継手。【腰掛け鎌継ぎ】という名称です。
土台の継手
これは材が直角に当たっているので仕口ですね。【蟻掛け】です。
土台の仕口
土台で使われるのはほぼこの二種類で、これが梁になるともっと種類が増えます。
現代ではこうした継手・仕口の加工はコンピュータ制御により、自動化されたプレカット
機械で行われるのが普通ですが、大工さんはノコギリとノミでこれが出来ます。
複雑に加工された木材がピッタリと納まる様は、さすが職人技だなと感心させられます。


2017-11-08 | Category 大屋根の家, 建築 

 

下準備

西尾市『大屋根の家』の現場では、週末の上棟に向けて大工さんが下準備をしていました。
すでに基礎の上には土台が敷かれ、床合板を受けるための材を順番通り並べている所です。
上棟の準備で並べられた大引の写真
この家は室内の土間が占める割合が大きく、熱損失を防ぐために土間部分の基礎立上がり
に沿って断熱材が入っています。土間になる部分は後からコンクリートを打ち増しです。
ネオマフォーム|基礎立ち上がり部分の断熱施工
基礎と土台の間には基礎パッキンという部材がかませてあり、床下の換気をするため
通常は通気タイプを使用します。真横から見ると向こう側が見えますね。
通気タイプの基礎パッキン
対して玄関その他、室内側に土間がある場合は“床下”が無いため通気は無意味。
無意味どころか、隙間風など悪影響しかないため気密型の基礎パッキンを使用します。

こちらが気密基礎パッキン。今度は向こう側が見えません。
気密基礎パッキンの写真
土間には強力な薪ストーブを設置。これはその背後に造った、RC造の遮熱壁です。
薪ストーブの遮熱壁になるRCの壁
週末にはいよいよ家が立体になります^^


2017-11-06 | Category 大屋根の家, 建築 

 

沓脱石【くつぬぎいし】

発注していた大谷石の沓脱石が『通り土間の家』の玄関に設置されました。
大谷石の沓脱石
家に上がるときは靴を脱ぐ習慣のある、日本ならではの文化ですね。
室内を神聖な場所と考える日本では、これが外界との明確な線引き、一種の結界とされます。
そう考えるとやはり日本産の石が相応しいだろうし、沓脱石が引き立つしつらえにしたい。
床と土間の段差を解消するための、単なるステップとは少々意味が違うのです。


2017-11-05 | Category 通り土間の家, 建築 

 

屋根からの眺め

『上条の家』は屋根の瓦が葺き終わりました。
足場ネットが張られているため、まだ下からだとよく見えません。
足場ネットが張られた家の全景写真
秋晴れの空に映える瓦。光に当たるとシルバー色の金属光沢が見られます。
ここではフラットタイプの平板瓦を使用しました。
フラットなタイプの平板瓦
雨の日だとこのような色に見えます。瓦って雨も似合いますね。
雨の日の平板瓦


2017-11-03 | Category 上条の家, 建築 

 

Low-Eガラス

近年建てられた家を外から見たとき“窓に色が付いているな”と感じたことはありませんか?
ブルーだったりグリーンだったり、ブラウンっぽいのもありますね。
今では当たり前のように使われていますが、改めて説明するとあれは“Low-Eガラス”です。
Low-Eガラスとはペアガラスの空気層側に来る面に、金属膜をコーティングしたガラスの事。
ペアガラスが持つ空気層の、室外側に被膜をしたものは外からの熱線を室内に入れにくく
空気層の室内側に被膜をしたものは室内の熱を外へ逃がしにくくする性質があります。
普通の透明ガラスと比べると、窓際での体感温度はもう全然違いますよ!
Low-Eガラスを使用した住宅の窓
ここ『通り土間の家』でもLow-Eガラスを使用していますが、上記の特性を考えた上
外部からの日射を遮りたい場所には遮熱タイプのLow-Eガラスを、それほど直射は受けず
むしろ冬場の熱損失を防ぐ事を重視したい場所には断熱タイプのLow-Eガラスをと
いった具合に、場所によってLow-Eガラスの種類を使い分けています。

Low-Eガラスの色に関しては少し面白い(僕はあまり歓迎してませんが)特性があって、
外から見たガラスの色がブルータイプのものは室内から見た景色が若干ブラウン寄りに
見え、反対にブラウンタイプのものは室内からの景色がブルー寄りに見えます。
これは外から室内に入って来る様々な色を持った自然光から、例えばブルータイプでは
「青の波長を跳ね返している」んですね。だからガラス自体は青く見えるし、
そこで青の波長が減った分、室内からは少しだけ外が違う色に見えるんです。
勝手な考察ですが、概ねそういう理屈で合ってると思います。

この現象に気づいたばかりの頃は、もうそれが気になって気になって・・・
「青空が青空に見えない」とかかっこいいセリフを垂れ流しながら一人サンプル比較
したりしていたんですが、僕が慣れたのか商品が改善されたのか、いつの頃からか
それほどの違和感は感じないようになりました。
一時は“Low-Eガラス使いたくない”とさえ思っていたのに、慣れって怖いですね。


2017-11-02 | Category 通り土間の家, 建築 

 

梁密度高め

『上条の家』はサッシも入り、外部での造作工事が進んでいます。
化粧梁が並んだ室内の写真
天井面にずらっと並んでいるのは全部化粧梁。
梁が入る基本的なピッチというのは910ミリ間隔です。
この空間を部屋の幅や高さなどのバランスから考えたとき、それでは少し不釣り合い
(梁と梁の間が広すぎ)だと感じたので、今回は半分の455ミリ間隔にしました。

東面と南面を囲うように、深い軒が廻っています。
居間の前部分には広い濡れ縁が付いて更に和の雰囲気がUP。
軒下の写真


2017-11-01 | Category 上条の家, 建築 

 

『上条の家』電気配線立会い

『上条の家』での電気配線立会いです。
時間も遅めから始まり、仮設の照明を点けて行われました。
左は昔ながらの白熱電球、右はLED電球の白色光タイプです。
白熱電球とLED電球を点けた建築現場の写真
ひと昔前は、建築現場で使われる仮設の照明といえば左の白熱電球ばかりでした。
特に今のような寒い時期の現場では、構造躯体から漏れる温かそうなオレンジ色の光に
本当にホッとしたものです。
久しぶりにこのタイプを見かけて、当時が懐かしく思い出されました^^


2017-10-28 | Category 上条の家, 建築 

 

繋がる縁(下)

予定していた『通り土間の家』の照明器具入荷が間に合わず困っていたところ
力を貸してくれる方が見つかった話を一つ前の記事で書きました。

間に合わない事が判明した日『通り土間の家』で工事をお願いしている電気屋さんから
電話がありました。岡崎市の瀬筒電気さんという方です。
「少し思い当たる事があり、代替品の依頼先が見つかるかもしれない」という話でした。
一旦切ってしばらく待っているとまた瀬筒さんから電話で
「照明器具を作ってこれからブランドを立ち上げる予定の人が知り合いにいて、
今はその準備期間なのでフルオーダーの照明器具製作でも十分相談に乗れる。
商品開発の意味もあり、その人も是非力になりたいと言ってくれている」・・・と。

こんなタイミングでこんな事ってあるでしょうか。
しかも昨日のブログで紹介した通り、作品のクオリティやセンスは抜群。
聞けば瀬筒さん、元々予定していた器具が間に合わないとなった時点で今回の作家さんに
話を持って行ってくれたらしいのです。本当にありがたい・・・。

思えばこの家の施工店がまだ決まっていなかったとき、既設電気メーターの処理や
手続きで相談に乗ってくれたのが瀬筒電気さんでした。
まだ正式に仕事として依頼できるか分からない状態にも関わらず、本当に親切に
対応してくれる姿を見て“電気工事をこの人にお願いできたらな”と強く思いました。
そしてこの家の施工店である後藤建築さんを紹介してくれたのも瀬筒さん。

5年前、独立と同時に浜松から岡崎に引っ越してきた僕は、当時こちらでの知り合いは
ほぼゼロの状態でした。だからこそ余計に、人と人の繋がりに温かさとかありがたみを
感じるのです。今回の事もそうですが、そうした小さな偶然の縁が少しづつ増ていって
今は同じ志を持った信頼のおける建築仲間がまわりにたくさんいてくれます。

今更ですがみなさん、いつも本当にありがとうございます。


2017-10-26 | Category 通り土間の家, 建築