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偶然の供物

本日は『一文字の家』解体の義が執り行われました。
これから解体工事に入る家に対し、今までの感謝と、別れをする日。
自分の生まれ育った家でなくたって、どうしても感傷的な気分になります。

現場に着いてすぐ、傍らにこんなものが置かれているのを見つけました。
葉っぱに乗せたチャナンのようなお供え物
もしバリ島に行かれたことがあるのなら、街中のいたるところでこれに似たものを
目にした記憶があると思います。
それは“チャナン”とよばれる神々へのお供え物。
万物に神が宿るとされる教えにのっとり、花や米などを女性たちが供えます。

以前行ったバリ旅行で、その風景は特に印象に残っていたので、今日これを見たときも
お施主さんがそうした風習を知っていて、少し華やかなお供えの意味合いでひっそりと
置いたものかと思いました。

ところが・・・
チャナンを置く子供の手
黙々とこれを作っては置いていたのはご夫婦の幼いお子さんでした。
異国の風習など知る由も無く、近くにある花や葉を集めて遊んでいただけなんですね。
しかし奇しくもそこは敷地の角。お清めをする対象となる場所です。
今日その場所にこんな可愛らしいお供えをしてくれたことは、もうすぐ解体の時を迎える
この家にとっても、きっと嬉しい事だったのではないでしょうか。


2016.05.22 | Category 一文字の家