うまい具合にクリスマス当日、岡崎市『一文字の家』の引き渡しが行われました。
Nさん、おめでとうございます!
テーマとして“アジアンリゾートな雰囲気にしたい”という要望が当初からあり、
住宅が密集する市街地でそれをどのように解いていくかが課題でした。
その雰囲気を最大限演出するための入れ物(=家)はこれで完成したので
あとは小物や雑貨、水鉢、植物など一貫したテーマを持って追加して行くことで
どんどん“らしさ”が出てくると思います。
設計開始から完成まで1年ちょっと。
初回プランと実際に完成した家とで、これほど何も変わらなかった事は初めてです。
途中、こんなに順調でいいんだろうかと逆に不安になるぐらいに(笑)
でもそれは提案した内容が1発で期待に応えられている、ということなので
設計者としては目指すべき理想の形であるし、とても嬉しいことなのです。
高額な部類に入る一文字葺きの外壁も含め、こちから提案したほぼすべてのことを
「いいですね、いいですね」
と言って聞き入れて下さった施主のNさん。
これでいいんだという自信にもつながり、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
いい家になったと思います!ありがとうございました!
PS.Nさん、昨日外構工事の様子を見に行ったら、ほぼ完了していましたね。
正面の植栽は等間隔ではなく、玄関側と木製ルーバーの前部分に集中させるよう
外構屋さんに直接お願いしておいたので、シダ類がすごいワサワサしてました。
ダイニングからも木製ルーバーの隙間越しにその様子が見えるはずです。
快晴の日を狙って外観写真だけ別で撮りに伺いますので、そのときにまた^^
現場に行って確認して写真を撮ることは、いつも通りやっていました。
11月初旬から予定外の事がいくつも重なりすぎてブログを書いているような場合ではなく、
『一文字の家』の、工事後半の進捗状況がまったく報告できていませんでした。
今更になってしまい、施主のNさんに申し訳ないやら情けないやら・・・
今回は順を追い、撮りためていた現場写真を抜粋で紹介しようと思います。
フローリングが貼られ始めた頃。
“ローマンチーク”という名前で売られている、色合いがチークに良く似た木材です。
コンセントBOXを納めるため、柱と柱を少し離して立てています。
予定通りにピッタリ納まりました。
洗面室に付けたスチールの物干し竿は加治屋さんに作ってもらいました。
キッチンのレンジフードを囲う垂れ壁。
レンジフードは取り付ける高さの基準が決まっていて、それが結構低いのです。
あれに頭をぶつけるなと言うのは、身長175センチ以上ある人にとっては無理というもの。
最初は気を付けていても、いつか必ずやらかします。
その際被害を最小限にするため、角部分を数センチ面取りしてあります。
ウッドデッキの目隠し用木製ルーバー(の原寸模型)。
現場で大工さんが見え方を確認するために作ってくれていました。
キッチンの腰壁は墨モルタルの左官仕上げです。
素材感がそのままあらわれるので、最近とても気に入っている仕上げ方。
ただ、この仕上げ方でもっともっと狙った通りの表情を自在に作り出せるように
左官屋さんは腕を磨いてほしい。難しいのは十分理解しているけれど。
スキップしているバルコニー同士を繋ぐスチール階段。かなり重いです。
男3人がかりで運んだのですが、もう2階への階段上がってる途中で死ぬかと思いました。
無事、死なずに設置完了です。
いよいよ完成。夜間に照明をチェックしに行って来ました。
ウッドデッキに設置したマリンランプに照らされた、中庭の白い外壁。
中庭のマリンランプと、天井の間接照明だけでも室内は良い感じです。
Nさん、先日言い忘れましたが、この照明チェックのとき気づいた事があります。
今の時期、夜中11時頃に全部照明を消してリビングから東南の空を見てみてください。
ちょうど吹抜のFIX窓からオリオン座が見えますよ^^
後半を駆け足で振り返りましたが、実は去る12月25日、ちょうどクリスマスの日に
『一文字の家』の引き渡しをしました。
それはここにまとめず、この次のブログに書こうと思います。
『一文字の家』の足場が撤去され、ファサードが見える状態になりました。
道路側に沿った外壁は、全面ガルバリウム鋼板の一文字葺き。
上階のスチール手すりが付いているところは広いバルコニーになっています。
構想段階で作ったパースと比べてどうでしょうか。→ 完成予想パース
当初思い描いたコンセプトに、かなり近い形のまま進んで来られたと思います。
白の吹付塗装は滑らかに見えるよう、極力表面がザラザラでない種類のものを選びました。
中間で一文字葺きが途切れている部分には、この後木製ルーバーが付いて一体になります。
内部の仕上げ工事の進捗はまだこれからといったところですが、全貌を隠していた
足場が無くなると一気に終盤に入った実感が湧きますね^^
『一文字の家』は大工工事が終わり、これから仕上げ工事に入ります。
施主のNさんにも現場でプラスターボードが貼られた室内を見てもらいました。
掃出しサッシを付けた洗面室。物干し用のウッドデッキに直接出ることができます。
今は外壁塗装のため、窓がマスキング用シートで覆われていますが本当は透明ガラス。
物干しデッキは壁で完全に囲まれているので、それでも問題ありません。
洗面台の端を支えているつっかえ棒も、最終的には取り外して片持ち形式になります。
造作のダイニングテーブルなどの色を決めるため、塗装屋さんにも来ていただきました。
これは“オスモカラー”という種類の自然塗料。
二階から見下ろした階段。手すりはタモ材、ブラケットはスチールを使った造作です。
階段下の空間はご主人のためのスペースです。
パソコンが置ける程度のデスクがあり“書斎”と呼ぶにはやや小さい空間。
こういった穴ぐらのような奥まった空間の事を、建築用語では“DEN(デン)”といいます。
あとはクロスが貼られてくるといよいよ完成形が見えてきますが、その前に
2,3点クリアしなければいけない問題もあるので、まだまだ気は抜けません。
『一文字の家』中庭部分の外壁モルタルです。
こちらは玄関ポーチ内部の外壁モルタル。
この家はモルタルの上に白い吹付塗装をして仕上げます。
吹付塗装の場合には、色もさることながらその質感も塗装種類によって様々。
今回はいつもと比べ、表面がより滑らかに見えるタイプの仕上げを選びました。
塗装をかけずに、外壁はこれで完成!ってのも捨てがたいですね。
それはそれで重厚感のある、渋い仕上がりになるんですよ。
外壁にモルタルを使用している物件では、毎度このタイミングで思う事です。
『一文字の家』は室内のボード貼りが半分ほどのところまで来ています。
2階のフリースペースは、吹抜に向かってカウンターとスチール手すり。
今は外壁がモルタル、室内はボードの段階ですが、行く行くはここが両方とも白になるので
内外がスムーズに繋がってくれるといいなと思います。
なるべく外壁と内壁の面がそろうように寸法を決定していきました。
LDKは中庭に面して、吹抜も含め全面ガラス。
解放しつつ囲まれている感じが好きです。
中庭は3メートルを超す高さの壁で囲んでいます。
それでも採光や風通しに対しては当然配慮はしているので、雲間から太陽が顔を出した間
室内にはちゃんと陽射しが届いていました。
ここは元々あったご自宅からの建て替えなのですが
「この土地ってこんなに光が入る場所だったんだね」と、お施主さんご夫婦で話されている
のを聞けて満足でした^^
『一文字の家』で、造作のダイニングテーブルに使う塗装種類で悩んでいます。
アジアンリゾート風という割とはっきりしたテーマもあり、床と合わせて
チーク系の色にしようと方向性は決まっているのですが、何で塗るかが問題。
元々は「ブライワックス」という着色WAXで仕上げる予定でしたが
後で知った情報で、これはどうやら水拭きに適さないようなのです。
いくらなんでも水拭きできないダイニングテーブルをお施主さんに勧める訳には行かぬ。
ともあれ試してみない事には・・・と、自分で数色を購入して塗りサンプルを作ってみました。
まずは下塗り剤。
ブライワックス専用の下地塗料「ウォーターベース ウッド・ダイ」です。
色は「チーク」と「ゴールデンオーク」の2色を用意しました。
そしてブライワックス。
こちらも「チーク」と、もう一つはコゲチャに近い「ジャコビアン」という色です。
最初に下地塗料のウッド・ダイを塗ってみます。1回塗りだとこれぐらいの濃さ。
左がゴールデンオークで右がチークです。
別のサンプルには2回塗りです。
同じく左がゴールデンオークで右がチーク。
ちなみにサンプルに使用したのはSPF材の短い切れ端。
ホームセンターで、袋に詰め放題で100円でした。(5個入りました)
右は試しにやってみた、上記2色の重ね塗り。これはこれで結構いい色です。
さて、下の写真は説明がややこしくなるので、
ウォーターベース ウッド・ダイを青文字で、ブライワックスを赤文字で表記します。
A:ゴールデンオーク
B:ゴールデンオーク×チーク
C:ゴールデンオーク×ジャコビアン
D:チーク
E:チーク×チーク
F:チーク×ジャコビアン
※下地はすべて1回塗り
下地がチークだとやや赤みが出て、ゴールデンオークだと黄色みが出る印象ですが
思っていたほどの差にはなりませんでした。
上に塗るブライワックスの色が濃いと、仕上がり色はそちらに大きく左右されるようです。
最後に、これが一番楽しみだった試み。
釘などでわざとキズをつけた木材にブライワックスを施したアンティーク加工です。
溝になったキズ部分にワックスを塗り込んで拭き取るとその部分だけ濃く残り
使い込まれた古材のような風合いになります。
「アンティーク加工」とか「エイジング加工」などとも言いますね。
乾いた布で磨けば程よい艶が出て、なんとも良い雰囲気。
しかし、やはり水拭きをするとワックスが取れてしまったり色移りしたりと
ダイニングテーブルに使うにはなかなか覚悟が必要そうです。
ただ色や風合いは素晴らしくて、乾拭きのみでOKな造作家具などにはこれから
使っていきたい材料です。