『一文字の家』上棟日のときの写真です。
この家では寝室前にあるバルコニー内に1メートル程の段差を付け、スキップフロア形状の
バルコニーという少し珍しい作りになっています。
お施主さんご家族が立っている場所が通常レベルのバルコニー、背後の高くなっている床面も
一段高くなったバルコニーです。(バルコニー相互の行き来は最後に階段を設置)
当然普通の高さで作るよりコストもかかりますが、それを補って余りある恩恵が得られると
判断したので、プラン初期より提案させていただきました。
1.防火網入りガラスの回避
準防火地域にあるこの敷地では、通常この位置に着く窓は防火網入りガラスになります。
窓よりも高さのある防火壁(外壁など)で囲まれた窓は防火仕様でなくてもOKという
除外規定を利用し、高額で見た目もイマイチな防火網入りガラスを回避しました。
(※この除外規定の適用は地域により判断が異なりますので、必ず事前確認が必要です)
2.外観を整える
道路から良く見える位置にあるこのバルコニー部分の外壁には、外観上の特徴でもある
一文字葺が用いられます。高い壁で窓を隠す事で一文字葺を強調し、よりシンボリックな
ファサードの形成を目指しました。
3.西日除け
日没前の数時間、このバルコニーの窓は強烈な西日が射す方角にあります。
窓よりも高い壁は、これに対しても日射遮蔽の観点から有効であると思われます。
4.外部からの騒音を緩和
家の目の前を通る大通り。お施主さんによると夜間もそれなりに交通量があるそうです。
高速道路沿いにあるような遮音壁とまでは行かなくても、窓を囲む形の高い壁には
ある程度の遮音効果も期待できると考えました。
5.これが最大の目玉!ここにバルコニーを作った一番の理由は・・・
実はこの場所、まさに昨日行われた岡崎市の花火大会がとても良く見える特等席なのです。
住宅レベルで1メートル視点が上がるという事は、見える景色に大きな差が出ます。
より条件の良い場所から花火を鑑賞できるように考えた結果、バルコニーの床は
スキップし、その下部にちょっとした収納空間も生まれました。
ということで、発想の出発点は花火なのです。
1~4までは、また異なる必要性で別の入り口から考え始めた事柄なのですが
最終的にはなんか花火の件とうまく利害関係がマッチしてくれたなあという感想です。
昨日終わったばかりの岡崎花火大会ですが、早くも来年の花火が待ち遠しいですね。