『通り土間の家』居間と土間の境界部分にある建具用の溝(戸車レール)です。
Vレールとよばれるタイプのもので、これは樹脂製です。
当初ここは木製のVレールを使う予定でしたが、木製は反りや摩耗が起こりやすいとの事で
なるべく色の近い樹脂製に決定。開け閉めが多いと思われる場所だからです。
写真を見るとそれぞれのレールが独立して床に埋め込まれていますね。
レールとレールの間に関しては、わざわざこの幅にフローリングを挽き割っています。
施工性で言えば、はじめから3本の溝が切られた既製品の敷居部材を使用した方が
シビアな位置出しの必要も無く、設計的にも施工的にも当然ずっと楽なのです。
ただしこういった場所でレール一体型の敷居を使うと雰囲気が台無しに・・・。
言われなければ気にもしない部分かも知れませんが、比べるとその差は圧倒的です。
今回はレールとフローリングの長手方向が平行ですが、大変なのは直行しているとき。
直行している枚数分、すべてのフローリングをレール間の幅に合わせて細かく
ジャストサイズでカットし、きれいにはめ込んで行かなくてはなりません。
またVレールと似た製品でYレールというものもあり、こちらは溝の両サイドが少し
張り出していて、わずかにフローリングの上から覆いかぶさるような納まりです。
レール際のフローリングカットが多少ガタ付いていても粗を隠してしまえるため
Vレールに比べれば精度の要求は幾分緩くなります。
Vレールが床仕上げと完全にフラットで納められるのに対し、Yレールは
床仕上げより1ミリ程度レールの方が高くなるんですね。
ほんのわずかな違いですが、Yレールは“床の上に乗っている”イメージです。
図面でVレールを指定すると、よく現場サイドから「Yレールではダメか」という
話が来ることがありますが・・・すみません、それは出来ない相談です。