部屋の壁にあるちょっとしたくぼみの事を“ニッチ”といいます。
間接照明を仕込んでニッチ自体を演出のための要素に見立てることもありますし
何か実用的な意味を持って壁の一部に設けることもあります。
これは『落合の家』の玄関にある、間接照明を入れたニッチの例です。
そして近年よく見かけるのが、インターホンを壁から出っ張らなくするためのニッチ。
「インターホン ニッチ」等のキーワードで画像検索をするとたくさん出てきますね。
多くは数十センチ角の大きさで壁に薄く掘り込みをつくり、その中にインターホンを始め
照明のスイッチや床暖のコントローラーなどを整然と並べたものです。
でも僕は、大変申し訳ないのですがあの形状がかなり・・・かなり、苦手。
やりたい事がぼやけているというか、しつらえとして全くきれいだと思えないのです。
設備類が壁から出っ張らないようにする造作は、ホコリ対策の意味ももちろんありますが
一番はそのくぼみに納める物の存在感を出来る限り消したい場合の手段。
それなのに、わざわざ “見てくれ” と言わんばかりに額縁状のニッチを作り
まるでオブジェのごとくインターホンを飾っているかのような状態になっているのを
目にするたび思うのです。
“いったい何がしたいんだ・・・” と。
さて・・・自分で目一杯ハードルを上げてしまったところで、下の写真は『碧南の家』に作った
インターホン用のニッチです。
(※完成した写真はこちらをご覧ください→ カクス・ウメコム)
四方のクリアランスは数ミリ、掘り込み深さは設置する器具と同一寸法。
壁とツライチで前面パネルが収まるように作ったジャストサイズです。
ひとまわり小さいのは床暖コントローラー用のニッチで、インターホンよりも器具が
薄いため、それに合わせてニッチの深さも変えてあります。
如何に建築本体と後付の器具を一体化させるかという事のみに注力したこのニッチ。
そろそろインターホンも取り付けられる頃なので、今度行ったとき確認してきます。