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1畳のパントリー

図面上で家の間取りを見て、それが出来上がったとき体感的にはどれぐらいの広さなのか
イメージする感覚は、設計をしている者としてそれなりには持っているつもりです。
スケール感というやつですね。
広い狭いの話だけでなく、大きい/小さい、厚い/薄い、設計の作業ではそうした様々な
“サイズ”の中からベストだと思われるバランスを選択していく必要があります。

今回は『碧南の家』で、面積が畳1枚分サイズのパントリー(食品庫)を作りました。
1畳のパントリーは今まで何回も設計していて、広さ的には経験から十分実用可能だと
分かっていましたが、それらの入り口はすべて1畳の長手側。
対して今回は短手側に入り口があるため、奥に長い形状のパントリーとなります。
それが収納庫として使い勝手的にどうなのかという部分を少々懸念していたのですが・・・

そして出来上がった1畳のパントリー。全然いらぬ心配でした!
入り口がアール形状の1畳サイズのパントリー
1畳というと、多くのトイレと似たような広さです。自宅のトイレで
「こっちから入る」「この辺の高さに棚が付く」「しゃがむとひざが当たるか・・・?」
などと、一人で怪しい行動を繰り返して棚の奥行きや取付け高さを検討した甲斐があり
しっかりと“使えるパントリー”になっていて安心しました。

パントリー入口になる開口上部のアール形状は、奥さんたっての希望。
パントリー開口部のアール加工
僕はアールと直線が角度を成して取り合うのが絶対に嫌だったので、監督さんにも念押し。
曲線と直線がなだらかに繋がるこの形状は、狭い半径で下地のベニヤを曲げる必要があり
施工が難しいかなとも思いましたが、大工さん、きれいに仕上げてくれました。
これでパテ処理をして一度クロスを貼り、さらにその上から塗装をかけて仕上げます。

図面に書くのは簡単でも、それが実用に耐えるか、施工できるかというのは経験則。
これでまた自信を持って提案できる引き出しが少し増えました。


2016.08.03 | Category 碧南の家, 建築