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ビニールクロスと自然素材系クロス

大工造作の期間というのは、現場ではそれほど際立った変化が見られない時期が続きます。
そうした期間を終え『通り土間の家』では壁の石膏ボードが貼られ始めていました。

屋根の勾配がそのまま天井の形に現れてくる2階。
石膏ボードの貼られた勾配天井の写真
階段の吹抜部分にもすでに石膏ボードが貼られています。
ここも下りる方向へ向かっての勾配天井。その先に窓が付いています。
階段吹抜に貼られた石膏ボードの写真
クロスを貼る前には、ボード同士の継ぎ目など段差があるところにパテ処理を施します。
この家では、というかこれまでの物件大半がそうですが使用しているのは通気クロス。
一般的に多く用いられるビニールクロスよりも相対的に薄いものが多く、下地の凸凹
を拾いやすいため、出来る限りパテで下地面を平滑に仕上げておきます。

厚めのビニールクロスは下地の凹凸を拾いにくい、クリーナー剤で拭けるといった利点が
ある一方、調湿・通気性能や質感ではどうしても自然素材系のクロスには敵いません。
いくらマットな質感にしたくても、ビニールだけに表面に独特のテカリが出るのです。

当事務所としては上記の観点から、クロスであれば自然素材系をオススメしていますが
これからクロスを選ばれる方のために、敢えて自然素材系クロスの“悪い点”を
ちょっと誇張気味に挙げてみます。

・厚さ問題とは別に施工の方法上、クロスをジョイントしてある部分は必ず見て分かる。
・部分補修向きでない。ひどいキズなら貼替えの可能性も。
・表面がビニールのようにツルツルでないため、汚れが付くと落ちない。
・住宅用洗剤などのクリーナーを使用した清掃はできない。
・貼替えの際も、薄いのできれいに剥がせない。

うわ~・・・誇張気味とはいえ、字面で改めて見ると辛いですね。
勿論これらデメリットと天秤にかけて、十分検討対象になりうる素材だからこそ使って
いるのですが、住まわれる方の家族構成や家庭環境を考慮の上提案しています。
いたずら盛りのお子さんがいる世代の場合は当然要注意ですし、ペットがいる場合は
その子が壁を引っ掻いたりする癖が無いかなども確認します。

対して幼児がいないとか、全員が成人しているなどの場合は自然素材系のクロス
であってもそれほど恐れる必要はありません。なるべく壁に触らないなど
少しの注意は必要ですが、その代わりに窓や照明からの光を受け、柔らかい反射光を
纏った落ち着いた壁面が手に入ります。

PS.自然素材を使ったクロスですが、汚れが付いてしまった場合には柔らかめの
消しゴムでそっとなぞって下さい。日常的なお手入れは、メーカーサイトによると
月に1回程度、ハタキでホコリを落とすぐらいが良いようです。


2017.10.20 | Category 通り土間の家, 建築