昨日豊田市美術館に行ったついでに、すぐ近くの“七州城(別名:挙母城)”も見てきました。
城本体は明治時代に取り壊されているため、現在は復興された隅櫓(すみやぐら)のみです。
当時は警戒のため、あたりを見渡せるよう建てられた隅櫓。
防御用の格子窓も見えます。
石段を上り、城内をさらに奥へ進むとこんな建物も。立札を読むと書院と茶席ですね。
“又日亭(ゆうじつてい)” 設計:渡辺家10代規綱候
いちばん驚いたのがこちら。この真冬に桜が咲いていました。
城内の静謐な冷たい空気と真冬の桜。現実離れしたような、不思議な空間でした。
「冬」「城」「桜」・・・チョッパーいるな、これ。
午前中で打ち合わせが終了したため、夕方に豊田市美術館を見に行ってきました。
現在バリアフリー工事のため、今年10月まで絶賛休館中の豊田市美術館、
当然人が誰もいなくて外から建物をゆっくり眺めるにはとても好都合です^^
ファサード。
向かって右側のヴォリュームに貼られている薄緑色の自然石が印象的です。
少し斜めからも。
中央に見える赤錆に覆われた巨大な鉄のオブジェは Richard SERRA 作“Double Cones”
平成7年に完成し、設計は建築家の谷口 吉生氏。
僕がまだ設計の「せ」の字も知らなかった頃に見に来たことがあるのですが
今もう一度訪れてみて、あらためていい建築だなと思います。
日本の美術館としては珍しく、内部の写真撮影も可(※場所による)となっているので
休館期間が過ぎたら再度来たいと思います。
建築の構法や納まり、材料などで何一つ欠点が無いというものはありません。
みんなそれぞれにメリットとデメリットを併せ持っています。
何千万円という大金を支払うに当たって、より気になるのはデメリットの方でしょう。
いつも設計者としてこれを天秤にかけたとき、メリットの方が大きいと判断した案を
提案している訳ですが、提案をすべて通すことはなかなか難しいのです。
優れた建築家というのは、例外なく弁が立ちます。
良い建築を作るためには良い提案ができるのはもちろんのことですが、
それを相手にしっかりと納得してもらうだけの力が必要不可欠です。
さらに努力しようと思います。
今日友人の設計事務所が行っていた完成見学会に行き、そんなことを考えました。
素晴らしかったです。
今回の見積り明細書。釘一本までとは言いませんが、非常に詳細な金額が載っています。
医療においてよく使われる言葉に“インフォームドコンセント”というものがあります。
患者に対し、これから行う治療がどういった内容で、なんのために行うのか、
またそれに伴うリスクはどんなことが考えられるかなど正確な情報を伝え、
患者の自由意思によってその治療を受けるか否かを決定するといった意味です。
常々これは建築においても全く同じことだと思っていて、
一例としてですが見積もりをあげてみました。
クライアント自身が、何に対してどんな理由でいくらのお金が使われているのかを知り、
それに納得したうえで住んでもらいたい。
そのため見積もりの内容説明には非常に長い時間がかかります。
途中で飽きてしまうかもしれませんが、そこは何とかがんばりましょう。
今回の見積り、少し足が出ていましたが目標とする金額はどうにか射程圏内。
あと数回にわたり、内容の調整をしつつ進めていきます。
外壁の塗りサンプルいろいろ。
家の外壁はその面積が広いだけに、出来上がりのイメージを大きく左右します。
並んでいるサンプルは“弾性リシン吹付け”とよばれる仕上げ方法。
向かって左側2つと右側3つで表面の質感が違うのが分かりますか?
普段の生活のなかで、他人の家の外壁がなにで出来ていてどんな質感かなんて
気にして見ている人はまずいないと思います。
でも打合せ中、外壁決めの段階になると多くの方がそれを気にしはじめます。
そうやって各ステージごとに建築を見る目が自然とレベルアップして行くので
全ての打合せが終わったとき、初期の自分を振り返ってみてください。
最初は知らなかった知識や、見るポイント、きっと成長を実感できるはずです。
2026年完成予定、サグラダ・ファミリアの最終形態予想図です。荘厳の一言。
(※再生前に音量調節できます)
スペイン、バルセロナで現在建築が進んでいる『サグラダ・ファミリア』
着工したのが1882年といいますから、既に130年余りも工事を継続しているんですね。
建築家“アントニオ・ガウディ”がその生涯をかけた大聖堂が2026年に完成します。
一昨年だったか、この発表があったときは一瞬目を疑いました。
なぜなら僕が高校時代、サグラダ・ファミリアの工期については
「完成まであと200年はかかる」
というのが一般的な定説でしたから・・・ざっと170年ほどの工期短縮です。
住宅規模では1週間の工期短縮すら大ごとなのに、170年って。
その裏には高品質コンクリートの開発や3Dプリンター技術なども貢献しているようです。
この建築は未完だからこそロマンがあるなんてことも少し思っていましたが、
完成するならするで楽しみになってきました^^
一冊まるごと手すりの話題のみ。
マニアックにも程があろうというものです。
表紙の写真:関西大学学舎/設計:村野藤吾
建築における階段は、通常建物の中で唯一高さ方向に視点が変化する空間です。
これは意匠設計上も大変重要なファクターであり、場合によっては
階段からの着想でそれ以外の部分の設計が展開することもあるほどです。
その階段に必ず付けられる“手すり”も大変奥が深く難しい存在で、
特にスチールで製作する場合などはいつも検討に多くの時間を使います。
バリエーションは無限なので、考え出すとキリがありません。
この本ではそんな手すりについて、デザインの話から豆知識的なことまで
実例を挙げながら紹介されていました。
こういうマニアックな本すごく好きです。
納まり図の検討いろいろ。
落書きに見えるでしょうが、部分ごとの納まりを決めるうえですごく重要な手順です。
今日は岡崎市の設計事務所5社と工務店さんで集まり、合理的な納まりを考える会議でした。
“納まり”とは、部材同士をどのように組み付けて仕上げるかを指す言葉。
各部分が良い納まりかどうかによって、建築全体の性能や見栄えが大きく変わってきます。
自分ひとりで考えているとどうしても視野が狭くなってしまいがちなので
こうして設計者同士で自由な意見交換ができる場というのは本当にありがたいです。