昨日からずっと図面のチェックです。
昔から使っている黄色のデータチェッカー(蛍光ペン)で一箇所ずつ確認しながら
塗りつぶしていきます。
図面を描いているときは、当然自分では合ってるつもりで描いているのですが
一旦描き終えてこうして見直すと結構間違っている・・・
人間の注意力などたかが知れたもので、やはり何重にもチェックをすることは大切です。
また数多くの人が関わる建築現場では思わぬ行き違いが生じることもあり、
そうしたことを防ぐためには図面の精度をもっと上げて行かなければなりません。
これは自分自身に対しての戒めですが、見る人に勘違いをさせたり、
意味が伝わっていなかったら書いていないのと同じです。
関連:データチェッカー
解体で使用する重機です。ショベルカー、パワーショベル、ユンボ、いろいろな
呼び名で呼ばれていますが、正式名称は“油圧ショベル”といいます。
カゴ部分が普通と違って網状になっていますね。
スケルトンバケットといって、細かいチリは下に落とす“ふるい”の役割を果たし、
雨のあとで地面から廃材をすくい取っても水まですくってしまうことがありません。
このバケットと、写真では車体側へ180度全開しているフォークとで物をはさんで
掴んだりもできるため、解体業の方はこれを器用に操って廃棄物の分別までこなします。
『六名の家』での一枚ですが、解体中に紹介しそびれてしまったので載せます。
設計:NAP建築設計事務所/中村拓志
(※再生前に音量調節できます)
日本のみならず、世界を相手に活躍中の建築家 中村拓志(ナカムラ ヒロシ)さん。
僕は一番好きな建築家を一人だけ挙げろと言われたらこの方です。
2012年に完成した “Optical Glass House” の映像がありましたので
尊敬をこめて紹介させていただきます。
赤色用と青色用の芯ホルダー。左は芯シャープナーです。
僕がいつも使っているのは赤と青の芯ホルダーです。
直径2ミリの色付き芯で、鉛筆とは違い描いた線は消しゴムで消えません。
シャーペンの細いラインだと、“もうこの線で確定”のような不自由さを感じるので
ラフプランの段階で使用するのはこればかりです。
これでトレーシングペーパー(通称トレペ)に発想をそのまま描いていき、
当然修正したい部分も出てくるので、その場合はペンタイプの修正液で消して
また描いて、消して、と繰り返すうちにだんだん形になってきます。
人により設計のプロセスは様々なので、機会があれば他の人の方法も聞いてみたいですね。
それにどんな筆記用具を使っているかも非常に興味があるところです。
おそらくそれぞれに定番と言えるものがあるのではないでしょうか。
人によってシャーペン、色鉛筆、サインペン、ボールペン、万年筆・・・いろいろ聞きますが
どんな建物もまずは一本の線からスタート。
最終的にCADで製図されるとはいっても、その第一歩は人間の手描き線からです。
今日は太陽光発電に関して講義を受けてきました。
設計事務所としてもこうした時代の動きは把握しておかなければなりません。
近頃は家電製品や車などと同じように、家に対しても“性能”を求める動きが
加速度的に広がっています。
ある程度成熟した市場において量から質へとニーズがシフトするのは当然の事ですし、
現在エネルギー問題の議論が活発化している日本においてこういった動きは
歓迎すべきことなのかもしれません。
しかし建築設計に携わる者として、諸手を挙げて賛成、とも言えない複雑な思いが
あるのもまた事実です。
例えば屋根に設置する太陽光発電パネルに関して言えば、無理なく発電効率を優先する場合
屋根形状は「南向きで急勾配の片流れ屋根」が最適です。
新築で最初から発電パネルを載せる前提で、ましてや売電を目的とするのであれば
当然発電効率が最も良い屋根形状を選択したくなりますよね?
発電パネルの品質向上、また電力会社による電力買い取り制度などの後押しもあり
太陽光発電を検討する人が増えている今、これから建てられる家がこぞって
「南向きで急勾配の片流れ屋根」の外観を採用することも考えられます。
そして敷地の余白には芝生でも植栽でも花壇でもなく、地置きの発電パネル。
各家庭がそうなる“可能性”があるのです。
エネルギーの観点から見ればこれは喜ばしい事。だからこそ“個性ある魅力的な街並み”と
天秤にかけたとき、特にわれわれの立場ではジレンマに陥るのです。
家というものの概念が“製品”に近い性格のものになってしまうのではないか、
これからの日本の建築文化を育む土壌として、それは相応しいのか・・・
まだ答えは見出せそうにありませんが、しばらく悩みます。
・間接照明とは
僕は設計をするとき、割とよく間接照明を取り入れます。
間接照明とは光源が見えないように隠し、間接光だけが漏れてくる照明手法のことです。
照明器具自体がすでにその形状に作られている後付けタイプの物も市販されていますが、
ここでは建築化照明(建物本体の壁や天井にくぼみを作って器具を隠す間接照明の手法の事)
について書いていきます。
・建築で作る間接照明の意義
間接照明(建築化照明)の効果はと聞かれてまず思いつくのは
やさしい光で空間を演出できるということではないでしょうか。
落ち着いた雰囲気の飲食店などでも使われているのは大抵間接照明です。
しかし自分自身は、これはあくまで本当の目的の副次的な効果に過ぎないと考えています。
例えば天井の縁に沿って端から端まで間接照明を入れた場合、
人は無意識にその先に空間がつながっているイメージを感じ取ります。
天井と壁が交わって終わりではなく、そこに隙間があって光が射している。
限られた空間での閉塞感を軽減するうえで、この効果は想像以上なのです。
そしてこの“広がりを感じさせる効果”こそが、僕が考える間接照明の最大の意義です。
誤解の無いように書いておきますが、先述したような“雰囲気づくりのための間接照明”
を決して否定している訳ではありません。
自分でもそうした目的で間接照明を用いることは多々あります。
ただ設計者自身が、それが何を目的とした間接照明なのかという事ははっきりと
自覚しておく必要があるのではないかと思っています。
・間接照明の施工例
1.玄関ホールの縁、上り框の下に沿って間接照明を入れた例
暗めの配色の土間から浮いているような、軽快さを出すために取り入れました。
2.天井の縁の部分を掘り込んで間接照明とした例
天井から落ちた光が壁面を照らすこの手法は“コーニス照明”と呼ばれています。
3.洗面室の上部に棚状の間接照明を作った例
こちらは入り江のような形状になっていることから“コーブ照明”と名前がついています。
ミラー(貼付け前ですが)下の照明は、モザイクタイルをよりきれいに見せるため。
単なる照明装置としての役割だけでなく、人の無意識下にも働きかける間接照明。
その空間をどんなふうに見せたいのか、何に主眼を置くのかによって
もっとも適した方法を選択していきたいですね。
関連:上り框、デスクライト、人工衛星のようなペンダントライト
郵送されてきた一級建築士定期講習の受講票
設計事務所に所属している建築士は、3年度ごとに所定の講習を受ける義務があります。
受講せずにほったらかした場合、最悪懲戒処分ということにもなりかねません。
しかも受講時期が近づいてきたらお知らせなどが届くわけではなく
あくまで自分で管理しておかなければならないんですね。
僕は前回の受講から、今年の3月31日までが期限だったのですが最近まで忘れていました。
慌てて講習会場を調べると、近場の会場では2月は既にどこも満席。
かろうじて3月に岡崎で開催される定期講習の席をおさえることができ、
あとは約8時間の講習を受けて受講後の終了考査に通れば受講義務を果たせます。
(ほぼ100点取れるような内容なんですけどね。あれで落ちる人いるんだろうか・・・)
ともかく次回からは当該年度になったらすぐ申し込むぐらいにします。
平成29年度4月1日~ですので、近くなったら誰か教えてください。
引戸のなかでも“引込み戸”といって、全開時に戸が壁内へ納まるタイプのものがあります。
既製品の引込戸ではなく、完全造作でこれを作る場合にはいくつかのポイントがあり、
そこを押さえておくのが実用上大事になってきます。
今検討中の案件ではお施主さんからのちょっとした要望と、さらに造作家具が隣接する
事情もあってここのところ少々頭を悩ませていました。
さっき何気なく図面を見ていたら、思いつきました。いい事を。
いつもとはほんの少し変えるだけの、ごくごく小さな事です。
「この作り方ではうまくいかない」と、自分で勝手に決めつけていただけなんですね。
これならお施主さんも職人さんもOKしてくれそうです。
なぜ最初から思いつかなかったんだろうというような事に時間を費やしてしまいましたが
解決策の引き出しがひとつ増えたので、まあ良しとします。