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2016 夏季休暇のお知らせ

一級建築士事務所Casa designでは
8月10日(水)~8月16日(火)までを夏季休暇とさせていただきます。
この間、電話やメールなどの対応が遅れてしまうかも知れませんが
頂いたご連絡には必ず折り返しをいたします。
ご不便をお掛けしますが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。夏季休暇 夕焼けの写真


2016-08-08 | Category お知らせ 

 

一粒で5度おいしい

『一文字の家』上棟日のときの写真です。

この家では寝室前にあるバルコニー内に1メートル程の段差を付け、スキップフロア形状の
バルコニーという少し珍しい作りになっています。
スキップフロアのように段差が付いたバルコニーの写真
お施主さんご家族が立っている場所が通常レベルのバルコニー、背後の高くなっている床面も
一段高くなったバルコニーです。(バルコニー相互の行き来は最後に階段を設置)
当然普通の高さで作るよりコストもかかりますが、それを補って余りある恩恵が得られると
判断したので、プラン初期より提案させていただきました。

1.防火網入りガラスの回避
準防火地域にあるこの敷地では、通常この位置に着く窓は防火網入りガラスになります。
窓よりも高さのある防火壁(外壁など)で囲まれた窓は防火仕様でなくてもOKという
除外規定を利用し、高額で見た目もイマイチな防火網入りガラスを回避しました。
(※この除外規定の適用は地域により判断が異なりますので、必ず事前確認が必要です)

2.外観を整える
道路から良く見える位置にあるこのバルコニー部分の外壁には、外観上の特徴でもある
一文字葺が用いられます。高い壁で窓を隠す事で一文字葺を強調し、よりシンボリックな
ファサードの形成を目指しました。

3.西日除け
日没前の数時間、このバルコニーの窓は強烈な西日が射す方角にあります。
窓よりも高い壁は、これに対しても日射遮蔽の観点から有効であると思われます。

4.外部からの騒音を緩和
家の目の前を通る大通り。お施主さんによると夜間もそれなりに交通量があるそうです。
高速道路沿いにあるような遮音壁とまでは行かなくても、窓を囲む形の高い壁には
ある程度の遮音効果も期待できると考えました。

5.これが最大の目玉!ここにバルコニーを作った一番の理由は・・・
実はこの場所、まさに昨日行われた岡崎市の花火大会がとても良く見える特等席なのです。
住宅レベルで1メートル視点が上がるという事は、見える景色に大きな差が出ます。
より条件の良い場所から花火を鑑賞できるように考えた結果、バルコニーの床は
スキップし、その下部にちょっとした収納空間も生まれました。

ということで、発想の出発点は花火なのです。
1~4までは、また異なる必要性で別の入り口から考え始めた事柄なのですが
最終的にはなんか花火の件とうまく利害関係がマッチしてくれたなあという感想です。
昨日終わったばかりの岡崎花火大会ですが、早くも来年の花火が待ち遠しいですね。


2016-08-07 | Category 一文字の家, 建築 

 

1畳のパントリー

図面上で家の間取りを見て、それが出来上がったとき体感的にはどれぐらいの広さなのか
イメージする感覚は、設計をしている者としてそれなりには持っているつもりです。
スケール感というやつですね。
広い狭いの話だけでなく、大きい/小さい、厚い/薄い、設計の作業ではそうした様々な
“サイズ”の中からベストだと思われるバランスを選択していく必要があります。

今回は『碧南の家』で、面積が畳1枚分サイズのパントリー(食品庫)を作りました。
1畳のパントリーは今まで何回も設計していて、広さ的には経験から十分実用可能だと
分かっていましたが、それらの入り口はすべて1畳の長手側。
対して今回は短手側に入り口があるため、奥に長い形状のパントリーとなります。
それが収納庫として使い勝手的にどうなのかという部分を少々懸念していたのですが・・・

そして出来上がった1畳のパントリー。全然いらぬ心配でした!
入り口がアール形状の1畳サイズのパントリー
1畳というと、多くのトイレと似たような広さです。自宅のトイレで
「こっちから入る」「この辺の高さに棚が付く」「しゃがむとひざが当たるか・・・?」
などと、一人で怪しい行動を繰り返して棚の奥行きや取付け高さを検討した甲斐があり
しっかりと“使えるパントリー”になっていて安心しました。

パントリー入口になる開口上部のアール形状は、奥さんたっての希望。
パントリー開口部のアール加工
僕はアールと直線が角度を成して取り合うのが絶対に嫌だったので、監督さんにも念押し。
曲線と直線がなだらかに繋がるこの形状は、狭い半径で下地のベニヤを曲げる必要があり
施工が難しいかなとも思いましたが、大工さん、きれいに仕上げてくれました。
これでパテ処理をして一度クロスを貼り、さらにその上から塗装をかけて仕上げます。

図面に書くのは簡単でも、それが実用に耐えるか、施工できるかというのは経験則。
これでまた自信を持って提案できる引き出しが少し増えました。


2016-08-03 | Category 碧南の家, 建築 

 

祝上棟!『一文字の家』

蒸し暑く、ときおり遠雷も聞こえる今日8月2日(大安)、『一文字の家』は上棟を迎えました。
お施主さんにとって、ずっと紙の上で想像することしかできなかった我が家が
ついに立体となって現実に現れる特別な日です。
Nさんおめでとうございます!
また平日にもかかわらずご予定を合わせて頂き、ありがとうございました。

即席の祭壇に用意された米と塩を家の四隅にまき、工事の無事を祈ります。
工事の無事を祈願する米と塩

完全な2層分の吹抜け。この部分は南に面して全面大きな窓が付けられます。
大きな窓の付く吹抜の写真
ところで、これまで Works に掲載した物件の中には、2層分の吹抜けがある家は
一軒も無かったんですね。
吹抜けは事務所スタッフ時代から数多く設計してきたイメージが強いので
今更ながらその事に気が付き、自分でも意外でした。

ようやく部屋の広さなどが体感できるようになった建物内を嬉しそうに見て回る
お施主さんの姿を見ていると、こちらも自分の事のように嬉しくなってしまいます。
訊かれても無いのに細かい設計意図を語り出しちゃったりなんかして・・・(笑)

今日は外部のパネル張りまでは行わず、ひとまず作業はここまで。
これから日一日と変化して行く現場が楽しみです^^


2016-08-02 | Category 一文字の家, 建築 

 

光を拡散する乳白色

「窓をスリガラスにすると、室内が暗く感じますか?」
これは打合せ中、よく受ける質問のひとつです。

あくまで僕の主観ですが、答えは「NO」です。
理由はあとで述べますが、むしろ透明より明るいのではと感じるケースもあるぐらいです。
外からの視線は遮りながら窓を設けたい場合、スリガラスも十分効果を発揮しますが
より外から見えにくく、オススメなのが “透明ガラス+乳白色フィルム” の組み合わせ。

洗面室の東面にある窓を上記の組み合わせで施工した例(『碧南の家』)
これはFIX窓で明かり採り専門。通風は別の場所からとっています。
スリガラス 乳白色フィルムを貼った窓の写真
天井まで届く大きな窓で、たくさんの光が入る明るい洗面室。
窓枠と、十字型に入る桟はタモ材で造作して温かみをプラス。
実際に現場で見てみて、自画自賛ですがこの窓はすごく良かったと思います。
スリガラス 乳白色フィルムを貼った窓の写真
天空光を受け、乳白色のガラス面全体が白く発光しているような状態になっています。
これこそが、人間の目が“より明るい”と錯覚する要因では?
同じワット数でも、クリア電球より乳白色電球の方が明るく感じるのと同じ理屈です。

点光源だったものが面光源に。

“窓”という面全体がフィルムを通して均一な光を拡散することで、やわらかな光で
満たされた落ち着きのある室内環境を作り出せます。

洗面室など、ともすれば明るさや快適性をはなから捨てて考えてしまいがちな場所でも
気持ちの良い空間にすることを望むのであれば、それは諦めるべきではありません。
水まわりの窓は小さくしなければいけない法など無いのですから。

Nさん、これは家の東面に陽が当たっていない時間帯の写真ですが、
朝日を浴びながらの身支度はもっと気持ちがいいでしょうね^^


2016-08-01 | Category 碧南の家, 建築 

 

ネタはある

ここ2週間ほどブログが停滞しています。
書くネタはたくさんあるのです。あるのですが、忙しくてつい後回しに・・・

これは言い訳ですね。「できない」のではなく、多分「やらない」だけ。
忙しいのにかこつけて、書く暇がないと思い込みたいだけのような気がします。
これではマズイと反省し、シャットダウン寸前から翻意してブラウザを立ち上げました。

現在は『碧南の家』の工事が終盤に差し掛かっていて、現場の様子を次回から
順次紹介していきたいと思います。

まず今回は手始めにゆる~い滑り出しで・・・
柴犬の写真
現場に行ったとき、たまたま散歩で通りかかった柴犬のチコさん(♀)。
しゃがんだら寄ってきたので、飼い主さんにお願いして撮らせていただきました。

もちろん現場の写真もたくさんありますからね!
出来る限りこまめに更新していきたいと思います。


2016-07-31 | Category 碧南の家 

 

Marble Machine

これは楽器・・・という表現で合っているのでしょうか。
からくり仕掛けで軽快な音楽を奏でる木製演奏機械の動画です。
音楽
出典:Vimeo

詳細がいまいち分からなかったのですが、名前は“マーブルマシン”というらしく
スウェーデンのバンド “Wintergatan” の手によるもののようです。

しかしよく作ったな・・・いやそれ以前によく思いついたなとしか言いようがない複雑さ。
からくりの精巧さもさることながら、このあまりに特殊な演奏方法は、さながら
工業機械を使いこなす熟練職人のようでもあります。

※再生前に音量調整できます(演奏は0:30から)

Wintergatan – Marble Machine from Wintergatan on Vimeo.


2016-07-14 | Category 映像 

 

郵便受け

壁に開けられた小さな開口部。
屋外側から見た『碧南の家』の郵便受け下地です。
屋外側から見た郵便受け
これは屋内側から見たところ。
届いた郵便物が室内側から取り出せるよう、このように外壁を貫通させています。
室内側から見た郵便受け
設置する場所は玄関近くが多いですが、玄関内に郵便受けのボックスが見えていては
あまりスマートではないので、取り出し口は造作の下足入れ内に仕込んでいます。
玄関は訪れた人を迎え入れるために設えられた、家の顔にもなる空間なのに
入っていきなり“郵便受けドーン”では雰囲気も何も無いですからね。

その玄関は北側からのやわらかい光を取り込む地窓がついたシンプルなつくり。
室の隅部分には、奥さんが以前から気になっているペンダントライトが付く予定です。
地窓のある玄関の写真
そろそろこの家の工事も中盤。残り半分、がんばって行きましょう!


2016-07-12 | Category 碧南の家, 建築