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“お互い様”の関係性

基礎立ち上がり部分のコンクリート打設が終わった『一文字の家』。
木製型枠の年季の入り具合が、いよいよダンジョンの様相を呈して来ています。
木製の基礎型枠の写真
基礎から飛び出した短いボルトは、基礎と土台を固定するためのアンカーボルト。
1本極端に長いのが、基礎と柱とをつなぐホールダウン金物用アンカーです。
ホールダウンアンカーの写真
現場に立ち寄った際、裏に建っているお宅のご主人とちょうどお会いしました。
建築現場ではどう気を付けたって、ある程度の作業音は出てしまうもの。
仕方がない事とは言え、やはり申し訳ない気持ちが当然あります。

そのことを伝えると
“ここのお父さんとは昔からの付き合いで、全然大丈夫ですから気にせずやってください。
それにこんなのはお互い様ですからね” との、温かい言葉をかけて下さいました。

“お互い様”

工事をしてる側から言っちゃダメですが、言われると本当にホッとする言葉ですね。
もちろんそれに甘える事なく、近隣の方々への配慮は引き続き行っていく訳ですが
この言葉はお施主さんご家族が長年築いてこられた近隣の方々との良好な関係性や、
その人柄を物語っているようで嬉しくなりました。


2016-07-10 | Category 一文字の家, 建築 

 

七夕の空

カメラ熱が盛り上がりを見せている今日このごろ(僕の中で)。
本日は七夕→そうだ天の川撮りに行こう!ということで、仕事を早々に切り上げて
初めての星景写真を撮りに行って来ました。

日の入りを待ち、今日得たばかりのにわか星景写真知識を携えて山道を走ること1時間。
ホタルが飛び交う里川のほとりに、ちょうど良い空き地を見つけました。
真っ暗闇の中なんとかセッティングを終えたところで問題が発生。

1. まず、天の川がどっちにあるのか分からない。
2. 暗すぎて何も見えず、ピントを合わせるとかいう次元の問題じゃない。
3. 曇ってる。

何とか雲の切れ間を狙い、1と2は気にしない事にして撮った写真がこちら。
まあ割と、初めてにしては割と、ソレっぽいんじゃないですかねえ・・・?

カメラ:SONY NEX-7 絞り値:F11 露出:30秒 感度:ISO-6400 レンズ:E10-18mm F4 OSS
初めて撮った星景写真
シャッターを開けている30秒の間に、ちょうど車が1台通過しました。
道路に沿ってテールランプの赤い光が帯状に写りこんでいます。

カメラ:SONY NEX-7 絞り値:F11 露出:30秒 感度:ISO-6400 レンズ:E10-18mm F4 OSS
車のライトが写った星景写真
今回なにより最大の反省点は、上に書いたカメラの設定で赤文字になっている部分。
本来ここはF4(このレンズの絞りを開放にした値)に合わせて撮影する予定でした。
夜空は暗いので、なるべく絞りは開けて薄明りを取り入れなければならないからです。
ところがなぜか絞り値が変えられず、仕方ないのでISO感度を6400まで上げた結果
ノイズが盛大に現れました。(本当はISO3200以下に抑えるのが良いようです)

絞り値を変えられなかった理由は単純で、カメラのモードを“シャッタースピード優先”
に合わせていたのです。
露出時間と絞り値、その両方を自由に操作できるのはマニュアルモードなんですね・・・
何とも初歩的な知識不足が悔やまれますが、おかげで勉強になりました。

ともかくこの写真が、今僕が持っている知識・経験・技術を駆使した結果ということです。
トライ&エラーを重ね、いつか画面いっぱいに広がる天の川をお見せしたいと思います!


2016-07-07 | Category 趣味 

 

基礎進行中

6月末に着工した『一文字の家』では基礎工事が進んでいます。

ベタ基礎の配筋。これは通称“シングルベタ基礎”といいます。
ベタ基礎のスラブ配筋

平らな部分の碁盤の目状の鉄筋を、更にもう一層入れるとダブル配筋のベタ基礎ですね。
鉄筋が2層に入る分、確かにシングル配筋に比べ高強度である事に間違いはないのですが
地耐力が特別低い場合など、ダブル配筋が本当に必要になるケースは割と稀です。
大は小を兼ねるとは言うものの、やはりそれには相応のコストがかかるのも事実。
過剰設計にならないよう、地耐力を勘案して適切な配筋計画としたいものです。

コンクリート製のスペーサー。現場ではサイコロ石とかピンコロなんて呼ばれています。
下に敷かれた防湿シート裏面にはさっそく水滴がついていますね。
こうして地中から上がって来る湿気が中に入るのを、コンクリートの手前で防いでいます。
コンクリート製のスペーサー

これもスペーサーですが、こちらは樹脂製。
鉄筋から型枠まで、つまり基礎の仕上がり面までの距離を一定に保つ役割です。
基礎工事で使用するスペーサーの写真

最後は鉄筋を切ったり曲げたりするための機械、カットベンダーです。
電動式もありますがこれは手動式。かたい鉄筋が面白いように曲がります。
鉄筋を加工するカットベンダーの写真

今回紹介した基礎の配筋は、コンクリートを打設すれば当然見えなくなってしまう部分。
着工直前に少し図面を手直しした事もあり、その部分の確認も兼ねて見に行って来ました。
現場で測ってみたら、しっかり新しい図面の指示通りにつくられていましたよ。


2016-07-06 | Category 一文字の家, 建築 

 

選ぶだけ、選ぶだけ・・・

「思い出自体は、プライスレスでございます。
つきましてはその思い出を写真として残すために、別途40万円ほど頂きます(ニッコリ)」
カメラの本
フルサイズの一眼レフ、もちろん今すぐに手が届くような代物じゃありません。
ただいつかは必ず手に入れる。
そう公言しておかなければ「欲しい」のままで終わりそうなので、ここで宣言しておきます。

元々は設計した建物の竣工写真を撮るためだけに始めたカメラですが、気づけば周りの
一部の人たちのおかげ(せい)で、写真を撮ることそのものに興味を持っていました。
「いい写真だね」なんて言われると、例えお世辞だろうと嬉しくなってしまう訳です。

現在の愛機、SONYのNEX-7。初めての一眼です。(※一眼“レフ”ではありません)
SONY NEX-7の写真
これだって僕にとっては十分に良いカメラで、普段不満を感じる事など特にありません。
当然、言うまでも無くフルサイズ機の性能面での優位性というのはたくさんあるのですが、
写真を生業とするのでない以上、やはりフルサイズは贅沢品の部類に入るでしょう。

では何故・・・?

性能上の細かい話はさておき、つまるところ“夢”です。
写真の世界に興味を持った人にとって、フルサイズ機というのは一種の到達点なんですね。
そして、その夢のフルサイズで人を惹きつけられるような写真をたくさん撮ってみたい!

建物の竣工写真はこの先も今と変わらず自分で撮っていくつもりです。
そう考えると写真の質が上がることは設計事務所としてもプラスなんじゃないか・・・?
・・・ポジティブすぎるでしょうか(笑)

ここのところ、カメラは一生の趣味として続けられるなという予感があるので
まだまだ先の話ではありますがフルサイズ機への移行は真剣に考えています。


2016-06-30 | Category 趣味 

 

スチール部材いろいろ

今日は『碧南の家』で定例の現場立ち会いでした。
現場には造作のいろんなスチール部材が次々と到着しています。

すでに取付けが終わっている洗面室の洗濯物干しには、太めの異形鉄筋を使用。
懸垂ができるほど強度がありますが、専用の懸垂バーは懸垂バーで別の場所に付きます。
洗面室にあるスチールで作った物干し
傘掛けだと思ったけれど、そういえば洗面タオル掛けも同じつくり・・・これどっちだ・・・??
とにかくどっちかです!
スチールの傘かけ
インナーテラス用のスチール物干しも、あとは取付けを待つばかり。
テラスに付けるスチールの物干し
インナーテラス天井の開口部には強化合わせガラスが取り付けられました。
既製品の天窓ではないので窓枠も無くスッキリ。大きなガラス面で空だけを切り取ります。
テラスに付けるスチールの物干し
小さい方のお施主さんは地質調査で忙しそうです。
Child
大きい方のお施主さん、お茶ありがとうございました^^
次回は更に進んだ状態の現場が楽しみですね!


2016-06-26 | Category 碧南の家 

 

電気コードぐるぐる

『碧南の家』室内のプラスターボードが貼られる前の写真です。
頭が当たらないぐらいの高さに木材の切れ端を打ち、電気コードが掛けられていました。
木材の切れ端に掛けられた電気コードの写真
例えばこの電気コード掛けは大工さんのひと手間ですが、こうした事は自分が作業を
再開しやすいようにというほか、もうひとつ大事な意味があります。

建築現場では、入れ替わり立ち替わり多くの業種が作業を進めていきます。
自分は作業がなくて現場に入らない日でも、他の業種は入るかもしれない。
お施主さんが現場に来ることだってあるかもしれない。

そんなとき、電気コードが床を這っていたら?刃が出た状態で工具が置かれていたら?
思わぬ事故につながってしまうかも知れません。
このぐるぐる巻かれた電気コードは、他者に対する気遣いの表れなんです。


2016-06-24 | Category 碧南の家 

 

実測のお共に

12、3年ぶりにコンベックススケールを新調しました。
長さ5m、幅2.5cmタイプのコンベックススケール
大学卒業後、最初の会社で現場監督をしていた頃に購入したものをずっと使っていましたが
ようやくプロ仕様に格上げです。以前のは完全に一般家庭用でしたからね・・・

たくさんある中から写真のこれを選んだのは、とにかくテープが頑丈だったこと。
本体を水平に持ってテープをどんどん伸ばして行くと、テープが途中でペキッと折れて
垂れ下がってしまう経験をしたことは無いでしょうか?
その点このコンベックスのテープ剛性は“当社比1.5倍”とのことで、水平に2メートル以上
伸ばしてもまだ余裕がありそうです。

もう一つはやはり見た目と持った感触ですね。
ちょうどいいおにぎりぐらいのサイズ感で持ちやすく、金メッキなどの過度な装飾が
施されていないのも好印象です。

そしてこの色合いや質感、佇まいから一眼レフのフルサイズ機に通ずるものを確かに
感じ取るあたり、カメラ欲しい病は相当重症なもよう。
本体
出典:デジカメプラス


2016-06-19 | Category 建築 

 

馬目地のブロック塀

先行造成で、馬目地になるようコンクリートブロックが積まれた『一文字の家』。
“馬目地”(または破れ目地)というのは、ブロックを半分ずつずらして積む方法の事です。
これに対して縦横とも目地が通っているのは“芋目地”と呼ばれます。
馬目地で積まれたコンクリートブロック塀
何という事はない、土留めの役割をする単なるコンクリートブロックですが
今回は積み方に関して「馬目地で積んでください」と少しだけ口を挟ませてもらいました。

この家で使う一文字葺の外壁は、デザインのつくりとしては馬目地に近いものがあります。
そのイメージに対応させたという意識も多少働いてはいますが、建物の足元が単調に
なるのを避けたかった、動き・変化を付けたかったというのが、この積み方でお願いした
理由として大きなところです。

そこそこ距離もあります。
馬目地で積まれたコンクリートブロック塀
ブロック積の高さがある程度高い場合、馬目地にするとガチャガチャと少しうるさい印象に
なってしまうおそれもあり、スッキリ端正に見える芋目地が一般的です。
馬目地の高い塀で、全体として恰好良くまとまっているケースも見たことはあるので
そのあたりはデザインする人のセンスが問われる部分ではないでしょうか。


2016-06-18 | Category 一文字の家