「窓をスリガラスにすると、室内が暗く感じますか?」
これは打合せ中、よく受ける質問のひとつです。
あくまで僕の主観ですが、答えは「NO」です。
理由はあとで述べますが、むしろ透明より明るいのではと感じるケースもあるぐらいです。
外からの視線は遮りながら窓を設けたい場合、スリガラスも十分効果を発揮しますが
より外から見えにくく、オススメなのが “透明ガラス+乳白色フィルム” の組み合わせ。
洗面室の東面にある窓を上記の組み合わせで施工した例(『碧南の家』)
これはFIX窓で明かり採り専門。通風は別の場所からとっています。
天井まで届く大きな窓で、たくさんの光が入る明るい洗面室。
窓枠と、十字型に入る桟はタモ材で造作して温かみをプラス。
実際に現場で見てみて、自画自賛ですがこの窓はすごく良かったと思います。
天空光を受け、乳白色のガラス面全体が白く発光しているような状態になっています。
これこそが、人間の目が“より明るい”と錯覚する要因では?
同じワット数でも、クリア電球より乳白色電球の方が明るく感じるのと同じ理屈です。
点光源だったものが面光源に。
“窓”という面全体がフィルムを通して均一な光を拡散することで、やわらかな光で
満たされた落ち着きのある室内環境を作り出せます。
洗面室など、ともすれば明るさや快適性をはなから捨てて考えてしまいがちな場所でも
気持ちの良い空間にすることを望むのであれば、それは諦めるべきではありません。
水まわりの窓は小さくしなければいけない法など無いのですから。
Nさん、これは家の東面に陽が当たっていない時間帯の写真ですが、
朝日を浴びながらの身支度はもっと気持ちがいいでしょうね^^
ここ2週間ほどブログが停滞しています。
書くネタはたくさんあるのです。あるのですが、忙しくてつい後回しに・・・
これは言い訳ですね。「できない」のではなく、多分「やらない」だけ。
忙しいのにかこつけて、書く暇がないと思い込みたいだけのような気がします。
これではマズイと反省し、シャットダウン寸前から翻意してブラウザを立ち上げました。
現在は『碧南の家』の工事が終盤に差し掛かっていて、現場の様子を次回から
順次紹介していきたいと思います。
まず今回は手始めにゆる~い滑り出しで・・・
現場に行ったとき、たまたま散歩で通りかかった柴犬のチコさん(♀)。
しゃがんだら寄ってきたので、飼い主さんにお願いして撮らせていただきました。
もちろん現場の写真もたくさんありますからね!
出来る限りこまめに更新していきたいと思います。
壁に開けられた小さな開口部。
屋外側から見た『碧南の家』の郵便受け下地です。
これは屋内側から見たところ。
届いた郵便物が室内側から取り出せるよう、このように外壁を貫通させています。
設置する場所は玄関近くが多いですが、玄関内に郵便受けのボックスが見えていては
あまりスマートではないので、取り出し口は造作の下足入れ内に仕込んでいます。
玄関は訪れた人を迎え入れるために設えられた、家の顔にもなる空間なのに
入っていきなり“郵便受けドーン”では雰囲気も何も無いですからね。
その玄関は北側からのやわらかい光を取り込む地窓がついたシンプルなつくり。
室の隅部分には、奥さんが以前から気になっているペンダントライトが付く予定です。
そろそろこの家の工事も中盤。残り半分、がんばって行きましょう!
今日は『碧南の家』で定例の現場立ち会いでした。
現場には造作のいろんなスチール部材が次々と到着しています。
すでに取付けが終わっている洗面室の洗濯物干しには、太めの異形鉄筋を使用。
懸垂ができるほど強度がありますが、専用の懸垂バーは懸垂バーで別の場所に付きます。
傘掛けだと思ったけれど、そういえば洗面タオル掛けも同じつくり・・・これどっちだ・・・??
とにかくどっちかです!
インナーテラス用のスチール物干しも、あとは取付けを待つばかり。
インナーテラス天井の開口部には強化合わせガラスが取り付けられました。
既製品の天窓ではないので窓枠も無くスッキリ。大きなガラス面で空だけを切り取ります。
小さい方のお施主さんは地質調査で忙しそうです。
大きい方のお施主さん、お茶ありがとうございました^^
次回は更に進んだ状態の現場が楽しみですね!
『碧南の家』室内のプラスターボードが貼られる前の写真です。
頭が当たらないぐらいの高さに木材の切れ端を打ち、電気コードが掛けられていました。
例えばこの電気コード掛けは大工さんのひと手間ですが、こうした事は自分が作業を
再開しやすいようにというほか、もうひとつ大事な意味があります。
建築現場では、入れ替わり立ち替わり多くの業種が作業を進めていきます。
自分は作業がなくて現場に入らない日でも、他の業種は入るかもしれない。
お施主さんが現場に来ることだってあるかもしれない。
そんなとき、電気コードが床を這っていたら?刃が出た状態で工具が置かれていたら?
思わぬ事故につながってしまうかも知れません。
このぐるぐる巻かれた電気コードは、他者に対する気遣いの表れなんです。
『碧南の家』には造作の天窓が付いた半屋外のウッドデッキスペースがあります。
設計において、内と外をどう繋げるかというのはいつも考えているテーマです。
と言うのも、一般的な木造住宅では1階の床面から外の地面までは60センチ近い段差があり
これに対して何の対策も取らない事が庭に出る機会を減少させているように思うからです。
“外に出る決意”とまで言うと大げさですが、「今から屋外へ出る」という能動的な意思を
持ったときに初めて、人が庭へ出るというのは僕が理想としている建築とは少々違います。
思わず外に出たくなるような仕掛け・・・というのもまた、言葉として少々違う気がします。
もっと自然に、外に出た感覚すら認識させないほどのイメージで屋内と屋外を繋ぎたい。
滅茶苦茶な事を言っているようですが、それで成り立っている建築が端的には理想です。
今回はそれに近づくためのひとつの手段として、半屋外空間を使っています。
完全に屋根のかかった半屋外のウッドデッキスペース。
庭以外の3方を壁(窓)で囲い、見上げると造作の大きな天窓があります。(ガラス取付け前)
内とも外とも付かない領域を挟むことで、「外に出る」という意識は随分と薄れるはず。
もちろん手法としてはこれがすべてではありませんが、有効な手段のひとつです。
碧南の家はLDKの目の前にとても広い庭があるため、その庭と室内をうまく繋ぐ役割を
この空間が果たしてくれる事を期待しています。
『碧南の家』ナラ材を使った幅広の複合フローリングです。
いつもは完全な無垢のフローリング材を使うことが多いですが、今回は“複合フローリング”
という種類のものを使用しています。
床暖房を採用する『碧南の家』では、温度・湿度の変化による材の伸縮が極めて小さい
こちらの複合フローリングを選定しました。
表面の厚さ3ミリほどが無垢のナラ材となっているので、仕上がりは無垢フローリングと
何ら変わりません。
そして下の写真は床暖房パネルを入れるためのひと手間。
柱の中心付近で、床下地に段差が付いているのが見えると思います。
奥側が標準の床下地高さで、手前側(LDK)の床下地は基礎を含めてまるごと12ミリ
下げています。
床暖房パネルの厚さが12ミリなので、こうしておく事で仕上げは同じ高さにできます。
しかし150ミリ幅のフローリング材というのはやっぱりいいですね。
安価なものは幅75ミリ程度からありますが、幅広材は風格が全然違います。
『碧南の家』2階の子ども部屋から、1階のリビングを見下ろしたところです。
高いところが苦手なため腰が引け気味。
この開口部は後々、ちょっとした宅内アスレチックの一部になります。
リビング部分の軒高や屋根勾配も、この開口部を基準にして決められました。
2階では通常の石膏ボードに先行して“構造用プラスターボード”が貼られていました。
先日のダイライトやハイベストウッドなどと同じく、こちらも構造用面材の一種。
壁倍率は1.5倍となっています。この家では3枚使用しました。
関連記事:ダイライト VS ハイベストウッド