『碧南の家』では羊毛(ウール)断熱材を使用しています。
羊毛なので、文字通りヒツジから刈った毛を断熱材として壁に充填するものです。
柱と柱の間に施工されはじめた羊毛断熱材。
防音に関してはセルロースの方が優れているものの、本来の目的である断熱性能では
セルロースとほぼ同等です。難燃性のため、燃えやすいのではという心配も無用。
搬入時はこのように袋詰めされてやって来ます。
住宅で使用される断熱材には様々な種類がありますが、中でも多いのはグラスウールです。
細いガラス繊維を綿のようにして空気層を作る構造はまさにガラスの羊毛(ウール)。
ただし構造は似ていても素材としての特性はまったく違うので、それぞれに適した
施工方法を選択することが肝要です。
家全体で呼吸するような、一貫して“通気”に重点を置いた作りの家には羊毛やセルロース
などの自然素材が向いていて、グラスウールや発泡ウレタンなどの断熱材は“高気密”
に重点を置いた作りの家に使用するのが良いかと思います。
『碧南の家』バルコニーで、向かい合って火花を散らすダイライトとハイベストウッド。
どちらも地震力や風圧力などに抵抗する構造用面材です。
向かって右が、普段よく使用しているダイライト
左はハイベストウッド
壁倍率も同じ2.5倍、大きな違いは無いかに思われる両者ですが、今回なぜこんな
張り分けをしているかというとバルコニーが関係しています。
構造用面材というのは基本、その強度を構造計算に含めるためには2階の外壁に張った
1枚の面材を、そのまま2階の床レベルよりも下まで張り延ばします。
ところがバルコニーがあると、その床が邪魔をして下に張り延ばすことができません。
こうした“床勝ち”の構造の場合でも構造用面材としての施工が認められているのが
ハイベストウッドなのです。
だったらわざわざ張り分けなくても、今回は全部ハイベストウッドで良かったんじゃない?
というのは、あとでちょっと思いました。
少し日にちが経ってしまいましたが、この前の日曜に『碧南の家』へ行って来ました。
施主のNさんにも足を運んでもらい、現場で電気配線の再確認です。
ひとまず電気図通りに配線されたコードが天井から下がっています。
写真だとスケール感が分かりにくいですが、掃出し窓の高さは全部2.4メートル。
照明器具の位置の他、コンセントやスイッチの高さなど実際にその場に立ってみた感覚で
使い勝手を確かめていきます。
リビングに付ける照明器具の仕様について少し思い違いがあり、図面を微修正しました。
今はほとんど構造むき出し状態の内部も、これから断熱材が入り、ボードが張られ、
だんだん家らしく変貌していきます。
Nさん、暑い中ありがとうございました。
そしてアイスとお茶ごちそうさまでした^^
『碧南の家』の、現場にあった“かけや”という巨大な木槌のようなものです。
建築工事中で、これが一番活躍するのは建て方のとき。
例えば下の写真は階段部分からの見上げですが、こうした架構を組んでいく際に
かけやを使って材料を上から叩き、組み立てを行います。
建て方の日、木を打ち付ける乾いた大きな音が響いているのはこれを使っている音です。
かけやを担いで梁の上を歩く大工さんの姿は絵になりますね。
『碧南の家』のリビング天井は化粧垂木です。
ツーバイフォー工法で使われる、ツーバイテンという規格の木材を流用しています。
高さ6センチとか7.5センチといったサイズが多い垂木ですが、ここのは高さ23.5センチ。
断熱材を入れるため、その上に更にもう一段垂木を重ねて二重垂木としています。
初期段階では構造体として考えていた化粧垂木も、構造計算をすると上に重ねた方の
垂木だけで水平剛性が確保できることが判明したため、どうやるか頭を悩ませていた
作業手順は少しやりやすい方に行ってくれました。
垂木の間に見えている合板(野地板といいます)は化粧ではなく、このあと天井を組んで
白いクロスで仕上げますが、これをあらわしの化粧野地としてもすごく格好いいんです!
でも白なら白でとてもスッキリ見えるので、この家にはその方が合いそうですね^^
一般に広く用いられている建築の工法は、大きく分けると3種類。
RC(鉄筋コンクリート)造、S(鉄骨)造、そして木造です。
ひとつの建物の中にこれらの工法が混在することは、認められてはいるのですが
それなりの構造計算をして安全を確かめることが義務付けられています。
建築中の『碧南の家』にあるスチールの柱。仮留めの状態です。
木造建物に鉄の柱が立っていますが、そもそもこの柱には応力を負担させていないため
これは木造と鉄骨造の混構造とはなりません。
よって混構造の構造計算も不要。通常の木造の構造計算のみをおこなっています。
あとは接合部の接合方法によっても混構造か否かの判断が変わってきます。
今は柱があるだけですが、現場が進むと、この柱へさらに別のスチール部材を溶接して
あれやこれやといろいろな用途で活躍してくれる場になる予定です。
これでは何の事やら分かりませんね・・・説明可能な状態になるまでしばしお待ちください。
『碧南の家』の屋根に防水層としてアスファルトルーフィングを施工している写真。
軒先から順に、重ねしろを100ミリ以上とって留めつけていきます。
この下には構造用合板、そして垂木という順番になっており、今回はそこに使用する
釘の長さが構造計算で65ミリ以上と指定されています。
施工中、使っている釘の種類を念のため確認させてもらいました。問題なし!
耐震というのは壁を強くするだけではダメで、建物が一体として揺れに抵抗するためには
床・屋根など水平面の剛性も重要になってきます。
ですからその剛性を担保する手段のひとつとして、こうした釘種類の指定があるんですね。
他には梁の交差部などに火打ちという斜め材を入れる方法もあります。
これは2階の梁に対して入れられた火打ち材。最終的には天井裏に隠れてしまいます。
設計は、目に見えない“応力”という存在を常に意識しながらの作業になります。
出来る限りスムーズな応力の伝達ができる架構を目指したいです。
『碧南の家』の建て方が行われました。
紅白の布が巻かれた柱。
「大黒柱」という位置づけではないですが、家のほぼ中心にあるこの柱が選ばれました。
柱はすべて東濃桧の4寸(120ミリ)角なので、見た目にもがっしりしています。
東濃桧は僕の地元、岐阜県が誇る県産材。とても質の高い木材です。
一日フル稼働だったクレーン車。
浮いてるように見えますが、浮いています。このままフワ~っと飛んで帰りました。
建て方途中、当然サッシも無く柱・梁・床合板など躯体だけで構成された素の状態。
こう言うと語弊がありますが、空間として一番好きな段階です。
建て方を見守る小さなお施主さんの後姿。
なぜかディズニーシーにあるメリーゴーランドを僕が作ったと信じています。天使かな?
この子達が大きくなる頃には、この家づくりの事は記憶から消えてしまうかも知れません。
だから少しでもたくさん写真を撮っておきますね!
Nさん、本日は上棟おめでとうございます。
これから引き渡しまで、いやその先も、よろしくお願いいたします^^