『碧南の家』には造作の天窓が付いた半屋外のウッドデッキスペースがあります。
設計において、内と外をどう繋げるかというのはいつも考えているテーマです。
と言うのも、一般的な木造住宅では1階の床面から外の地面までは60センチ近い段差があり
これに対して何の対策も取らない事が庭に出る機会を減少させているように思うからです。
“外に出る決意”とまで言うと大げさですが、「今から屋外へ出る」という能動的な意思を
持ったときに初めて、人が庭へ出るというのは僕が理想としている建築とは少々違います。
思わず外に出たくなるような仕掛け・・・というのもまた、言葉として少々違う気がします。
もっと自然に、外に出た感覚すら認識させないほどのイメージで屋内と屋外を繋ぎたい。
滅茶苦茶な事を言っているようですが、それで成り立っている建築が端的には理想です。
今回はそれに近づくためのひとつの手段として、半屋外空間を使っています。
完全に屋根のかかった半屋外のウッドデッキスペース。
庭以外の3方を壁(窓)で囲い、見上げると造作の大きな天窓があります。(ガラス取付け前)
内とも外とも付かない領域を挟むことで、「外に出る」という意識は随分と薄れるはず。
もちろん手法としてはこれがすべてではありませんが、有効な手段のひとつです。
碧南の家はLDKの目の前にとても広い庭があるため、その庭と室内をうまく繋ぐ役割を
この空間が果たしてくれる事を期待しています。
明日は『一文字の家』の地鎮祭。
ところがちょうど友人の結婚式と重なってしまい、残念ながら参加ができません。
そのことは以前からお施主さんに伝えてはいたものの、やはりなんだか申し訳ないので
夕暮れ時にひとりで現場に行って来ました。
地縄が張られ、テントも用意されて準備万端の現場です。
完全に日が落ちる前に何とか間に合って良かった・・・
一日早いですが、これから始まる工事の安全を祈願してきました。
『碧南の家』ナラ材を使った幅広の複合フローリングです。
いつもは完全な無垢のフローリング材を使うことが多いですが、今回は“複合フローリング”
という種類のものを使用しています。
床暖房を採用する『碧南の家』では、温度・湿度の変化による材の伸縮が極めて小さい
こちらの複合フローリングを選定しました。
表面の厚さ3ミリほどが無垢のナラ材となっているので、仕上がりは無垢フローリングと
何ら変わりません。
そして下の写真は床暖房パネルを入れるためのひと手間。
柱の中心付近で、床下地に段差が付いているのが見えると思います。
奥側が標準の床下地高さで、手前側(LDK)の床下地は基礎を含めてまるごと12ミリ
下げています。
床暖房パネルの厚さが12ミリなので、こうしておく事で仕上げは同じ高さにできます。
しかし150ミリ幅のフローリング材というのはやっぱりいいですね。
安価なものは幅75ミリ程度からありますが、幅広材は風格が全然違います。
『碧南の家』2階の子ども部屋から、1階のリビングを見下ろしたところです。
高いところが苦手なため腰が引け気味。
この開口部は後々、ちょっとした宅内アスレチックの一部になります。
リビング部分の軒高や屋根勾配も、この開口部を基準にして決められました。
2階では通常の石膏ボードに先行して“構造用プラスターボード”が貼られていました。
先日のダイライトやハイベストウッドなどと同じく、こちらも構造用面材の一種。
壁倍率は1.5倍となっています。この家では3枚使用しました。
関連記事:ダイライト VS ハイベストウッド
今までわが家では床座の生活でしたが、先日小さなダイニングテーブルを購入しました。
幅広の板を数枚並べたつくりで、新品なのにわざとジャンク品のようなラフな風合い。
板同士に隙間もあるし、切った際のノコ目も付いたままです。
以前は何でももっとキッチリした作りのものが好みだったのに、最近は多分まわりの
影響もあってこんな素朴な感じも好きになってきました。
きっと肩肘張らず気楽に付き合える雰囲気の方が性格に合ってるんですね。
建築は相変わらず、窓なら床から天井まで!壁から壁まで!ピッタリ隙間なく!が好きですが
そうした中にもラフな素材で一息付ける“外し”をうまく入れていけたら自分なりの方向性も
今よりはっきりしてくるのかなと思います。
それはそうと、このテーブルはモノ撮りをするときの台にもちょうど良さそうなので
さっそく得意のイームズハウスバードを持ってきて撮ってみました。
うん、やはり。
これから多用していきたいと思います。
関連記事:イームズハウスバード
『碧南の家』では羊毛(ウール)断熱材を使用しています。
羊毛なので、文字通りヒツジから刈った毛を断熱材として壁に充填するものです。
柱と柱の間に施工されはじめた羊毛断熱材。
防音に関してはセルロースの方が優れているものの、本来の目的である断熱性能では
セルロースとほぼ同等です。難燃性のため、燃えやすいのではという心配も無用。
搬入時はこのように袋詰めされてやって来ます。
住宅で使用される断熱材には様々な種類がありますが、中でも多いのはグラスウールです。
細いガラス繊維を綿のようにして空気層を作る構造はまさにガラスの羊毛(ウール)。
ただし構造は似ていても素材としての特性はまったく違うので、それぞれに適した
施工方法を選択することが肝要です。
家全体で呼吸するような、一貫して“通気”に重点を置いた作りの家には羊毛やセルロース
などの自然素材が向いていて、グラスウールや発泡ウレタンなどの断熱材は“高気密”
に重点を置いた作りの家に使用するのが良いかと思います。
『碧南の家』バルコニーで、向かい合って火花を散らすダイライトとハイベストウッド。
どちらも地震力や風圧力などに抵抗する構造用面材です。
向かって右が、普段よく使用しているダイライト
左はハイベストウッド
壁倍率も同じ2.5倍、大きな違いは無いかに思われる両者ですが、今回なぜこんな
張り分けをしているかというとバルコニーが関係しています。
構造用面材というのは基本、その強度を構造計算に含めるためには2階の外壁に張った
1枚の面材を、そのまま2階の床レベルよりも下まで張り延ばします。
ところがバルコニーがあると、その床が邪魔をして下に張り延ばすことができません。
こうした“床勝ち”の構造の場合でも構造用面材としての施工が認められているのが
ハイベストウッドなのです。
だったらわざわざ張り分けなくても、今回は全部ハイベストウッドで良かったんじゃない?
というのは、あとでちょっと思いました。
少し日にちが経ってしまいましたが、この前の日曜に『碧南の家』へ行って来ました。
施主のNさんにも足を運んでもらい、現場で電気配線の再確認です。
ひとまず電気図通りに配線されたコードが天井から下がっています。
写真だとスケール感が分かりにくいですが、掃出し窓の高さは全部2.4メートル。
照明器具の位置の他、コンセントやスイッチの高さなど実際にその場に立ってみた感覚で
使い勝手を確かめていきます。
リビングに付ける照明器具の仕様について少し思い違いがあり、図面を微修正しました。
今はほとんど構造むき出し状態の内部も、これから断熱材が入り、ボードが張られ、
だんだん家らしく変貌していきます。
Nさん、暑い中ありがとうございました。
そしてアイスとお茶ごちそうさまでした^^