『一文字の家』中庭部分の外壁モルタルです。
こちらは玄関ポーチ内部の外壁モルタル。
この家はモルタルの上に白い吹付塗装をして仕上げます。
吹付塗装の場合には、色もさることながらその質感も塗装種類によって様々。
今回はいつもと比べ、表面がより滑らかに見えるタイプの仕上げを選びました。
塗装をかけずに、外壁はこれで完成!ってのも捨てがたいですね。
それはそれで重厚感のある、渋い仕上がりになるんですよ。
外壁にモルタルを使用している物件では、毎度このタイミングで思う事です。
『一文字の家』は室内のボード貼りが半分ほどのところまで来ています。
2階のフリースペースは、吹抜に向かってカウンターとスチール手すり。
今は外壁がモルタル、室内はボードの段階ですが、行く行くはここが両方とも白になるので
内外がスムーズに繋がってくれるといいなと思います。
なるべく外壁と内壁の面がそろうように寸法を決定していきました。
LDKは中庭に面して、吹抜も含め全面ガラス。
解放しつつ囲まれている感じが好きです。
中庭は3メートルを超す高さの壁で囲んでいます。
それでも採光や風通しに対しては当然配慮はしているので、雲間から太陽が顔を出した間
室内にはちゃんと陽射しが届いていました。
ここは元々あったご自宅からの建て替えなのですが
「この土地ってこんなに光が入る場所だったんだね」と、お施主さんご夫婦で話されている
のを聞けて満足でした^^
『一文字の家』で、造作のダイニングテーブルに使う塗装種類で悩んでいます。
アジアンリゾート風という割とはっきりしたテーマもあり、床と合わせて
チーク系の色にしようと方向性は決まっているのですが、何で塗るかが問題。
元々は「ブライワックス」という着色WAXで仕上げる予定でしたが
後で知った情報で、これはどうやら水拭きに適さないようなのです。
いくらなんでも水拭きできないダイニングテーブルをお施主さんに勧める訳には行かぬ。
ともあれ試してみない事には・・・と、自分で数色を購入して塗りサンプルを作ってみました。
まずは下塗り剤。
ブライワックス専用の下地塗料「ウォーターベース ウッド・ダイ」です。
色は「チーク」と「ゴールデンオーク」の2色を用意しました。
そしてブライワックス。
こちらも「チーク」と、もう一つはコゲチャに近い「ジャコビアン」という色です。
最初に下地塗料のウッド・ダイを塗ってみます。1回塗りだとこれぐらいの濃さ。
左がゴールデンオークで右がチークです。
別のサンプルには2回塗りです。
同じく左がゴールデンオークで右がチーク。
ちなみにサンプルに使用したのはSPF材の短い切れ端。
ホームセンターで、袋に詰め放題で100円でした。(5個入りました)
右は試しにやってみた、上記2色の重ね塗り。これはこれで結構いい色です。
さて、下の写真は説明がややこしくなるので、
ウォーターベース ウッド・ダイを青文字で、ブライワックスを赤文字で表記します。
A:ゴールデンオーク
B:ゴールデンオーク×チーク
C:ゴールデンオーク×ジャコビアン
D:チーク
E:チーク×チーク
F:チーク×ジャコビアン
※下地はすべて1回塗り
下地がチークだとやや赤みが出て、ゴールデンオークだと黄色みが出る印象ですが
思っていたほどの差にはなりませんでした。
上に塗るブライワックスの色が濃いと、仕上がり色はそちらに大きく左右されるようです。
最後に、これが一番楽しみだった試み。
釘などでわざとキズをつけた木材にブライワックスを施したアンティーク加工です。
溝になったキズ部分にワックスを塗り込んで拭き取るとその部分だけ濃く残り
使い込まれた古材のような風合いになります。
「アンティーク加工」とか「エイジング加工」などとも言いますね。
乾いた布で磨けば程よい艶が出て、なんとも良い雰囲気。
しかし、やはり水拭きをするとワックスが取れてしまったり色移りしたりと
ダイニングテーブルに使うにはなかなか覚悟が必要そうです。
ただ色や風合いは素晴らしくて、乾拭きのみでOKな造作家具などにはこれから
使っていきたい材料です。
建築はなるべくシンプルに作りたいと思っています。
それぞれは小さな事ですが、下の写真は『碧南の家』でそれを意識した個所です。
インターホンと床暖コントローラー用のニッチ。もう一回り小さくてもいけそうですね。
フローリングが一部外れるようになっているこの部分は・・・
開けると中にはコンセントとガスファンヒーター用のガスコックです。
別にフロア用コンセントを普通に付ければ済む話なのですが、蓋を付けて中に隠しました。
壁・床・天井からの出っ張りを消すという事はスッキリ見せるひとつの有効な方法です。
でもこれを見て何となくは分かっていただけると思いますが
単純に “シンプル”=“装飾をしない”=“手間がかからない” とはならないわけです。
逆に、ごく普通に作るよりも思いっきり手間がかかります。
実は僕自身、昔はこういうのを見ても「そこまでする意味ある!?」と思っていたクチなので
皆が皆、賛同してくれるとは思っていませんが今は好みがコッチ寄りの路線です。
方法論は様々でも、細かい部分に意識を向ける事自体が大切だと思います。
関連記事:インターホン用ニッチ
内部の工事が進んでいる『一文字の家』。
2階から見た吹抜け部分。
現在は工事中の落下防止のため、木材で仮の手すりを付けてあります。
窓から仮設手すりまでの吹抜け幅は1.25間(2,275ミリ)。
今までやったことのない幅で楽しみにしていましたが、リビングの床面積に対する吹抜の
サイズとしてとても良いバランスでした。
打合せの本当に一番最後、0.25間(455ミリ)だけここの幅を拡げる提案をして良かったです。
こちらは逆に、この家で一番天井の低い部屋。小屋裏収納です。
床から梁下までの高さは750ミリ程度。当初はその高さで天井を貼る予定でしたが
「少しでも天井高を確保したいなら、ここだけは梁出して天井貼りましょうか?」
との監督さんからの申し出に速攻で甘え、その場でお願いしました。
小屋裏収納の上は一段高くなったバルコニー。
この方角に岡崎市の花火大会が見えるようになります。
現場では暑い室内で電気工事の職人さんが一人黙々と作業をされていました。
やはりこの時期の建築現場の暑さは、たとえ窓を開けていても相当に大変だと思います。
熱中症などには本当に気を付けてくださいね。
『碧南の家』では、ほぼ一通りの建築工事が終わり、後は少々の残工事と外構工事です。
今日はお施主さんにも来ていただき、一緒に現場を見てきました。
リビングの造作TVボード。壁掛けTVのため、配線は壁内を通します。
化粧垂木が見えている天井面。
造作の洗面台はミラー下がタイル貼りです。
入り口がアール形状になった、1畳サイズのパントリーも仕上がりました。
薄明りにレンガ調で、少しワイン蔵のような雰囲気です。
隣の浅い棚はレシピ本などを立てかけておくためのブックシェルフ。
Nさんご自身も、今日は暑い中外で土間にタイルを埋め込んだりとお疲れ様でした!
いよいよ引き渡しまであと僅か。
笑ってその日を迎えられるよう、最後まで気を抜かずに行きたいと思います。
関連記事:1畳のパントリー 、光を拡散する乳白色 、大きめ化粧垂木
部屋の壁にあるちょっとしたくぼみの事を“ニッチ”といいます。
間接照明を仕込んでニッチ自体を演出のための要素に見立てることもありますし
何か実用的な意味を持って壁の一部に設けることもあります。
これは『落合の家』の玄関にある、間接照明を入れたニッチの例です。
そして近年よく見かけるのが、インターホンを壁から出っ張らなくするためのニッチ。
「インターホン ニッチ」等のキーワードで画像検索をするとたくさん出てきますね。
多くは数十センチ角の大きさで壁に薄く掘り込みをつくり、その中にインターホンを始め
照明のスイッチや床暖のコントローラーなどを整然と並べたものです。
でも僕は、大変申し訳ないのですがあの形状がかなり・・・かなり、苦手。
やりたい事がぼやけているというか、しつらえとして全くきれいだと思えないのです。
設備類が壁から出っ張らないようにする造作は、ホコリ対策の意味ももちろんありますが
一番はそのくぼみに納める物の存在感を出来る限り消したい場合の手段。
それなのに、わざわざ “見てくれ” と言わんばかりに額縁状のニッチを作り
まるでオブジェのごとくインターホンを飾っているかのような状態になっているのを
目にするたび思うのです。
“いったい何がしたいんだ・・・” と。
さて・・・自分で目一杯ハードルを上げてしまったところで、下の写真は『碧南の家』に作った
インターホン用のニッチです。
(※完成した写真はこちらをご覧ください→ カクス・ウメコム)
四方のクリアランスは数ミリ、掘り込み深さは設置する器具と同一寸法。
壁とツライチで前面パネルが収まるように作ったジャストサイズです。
ひとまわり小さいのは床暖コントローラー用のニッチで、インターホンよりも器具が
薄いため、それに合わせてニッチの深さも変えてあります。
如何に建築本体と後付の器具を一体化させるかという事のみに注力したこのニッチ。
そろそろインターホンも取り付けられる頃なので、今度行ったとき確認してきます。
『一文字の家』上棟日のときの写真です。
この家では寝室前にあるバルコニー内に1メートル程の段差を付け、スキップフロア形状の
バルコニーという少し珍しい作りになっています。
お施主さんご家族が立っている場所が通常レベルのバルコニー、背後の高くなっている床面も
一段高くなったバルコニーです。(バルコニー相互の行き来は最後に階段を設置)
当然普通の高さで作るよりコストもかかりますが、それを補って余りある恩恵が得られると
判断したので、プラン初期より提案させていただきました。
1.防火網入りガラスの回避
準防火地域にあるこの敷地では、通常この位置に着く窓は防火網入りガラスになります。
窓よりも高さのある防火壁(外壁など)で囲まれた窓は防火仕様でなくてもOKという
除外規定を利用し、高額で見た目もイマイチな防火網入りガラスを回避しました。
(※この除外規定の適用は地域により判断が異なりますので、必ず事前確認が必要です)
2.外観を整える
道路から良く見える位置にあるこのバルコニー部分の外壁には、外観上の特徴でもある
一文字葺が用いられます。高い壁で窓を隠す事で一文字葺を強調し、よりシンボリックな
ファサードの形成を目指しました。
3.西日除け
日没前の数時間、このバルコニーの窓は強烈な西日が射す方角にあります。
窓よりも高い壁は、これに対しても日射遮蔽の観点から有効であると思われます。
4.外部からの騒音を緩和
家の目の前を通る大通り。お施主さんによると夜間もそれなりに交通量があるそうです。
高速道路沿いにあるような遮音壁とまでは行かなくても、窓を囲む形の高い壁には
ある程度の遮音効果も期待できると考えました。
5.これが最大の目玉!ここにバルコニーを作った一番の理由は・・・
実はこの場所、まさに昨日行われた岡崎市の花火大会がとても良く見える特等席なのです。
住宅レベルで1メートル視点が上がるという事は、見える景色に大きな差が出ます。
より条件の良い場所から花火を鑑賞できるように考えた結果、バルコニーの床は
スキップし、その下部にちょっとした収納空間も生まれました。
ということで、発想の出発点は花火なのです。
1~4までは、また異なる必要性で別の入り口から考え始めた事柄なのですが
最終的にはなんか花火の件とうまく利害関係がマッチしてくれたなあという感想です。
昨日終わったばかりの岡崎花火大会ですが、早くも来年の花火が待ち遠しいですね。